助産師さんとの話で、「本能」と「お父さんの役割」について考えてみた
前回、「母乳は栄養だけじゃない」という記事を書きました。
前回は、母乳と吸啜反射について書きました。ところが、その記事を読んだ助産師さんとのやり取りから、私はさらに「反射」と「無意識」、そして「父親の役割」について考えるようになりました。(以下が前回のブログです)
その記事を、この文章を書くきっかけをくださった助産師さんに読んでいただきました。
すると、
「母乳ケアに携わるようになって、お父さんの役割について改めて考えるようになったんですよ。」
と、新しい視点を教えてくださいました。
私自身、哺乳瓶には大きな魅力があると思っていました。
だって、
- お父さんも授乳に参加できる。
- 授乳という時間を通して、自然に育児の世界へ入っていける。
そんな良さがあると思っていたからです。
もしかすると私は、
「父親を育児に参加させるには、授乳を分担するのが一番だ。」
そんなふうに、少し単純に考えていたのかもしれません。
ところが助産師さんは、こんなお話をしてくださいました。
「哺乳瓶は、少ない力でもミルクが飲めます。だから、哺乳瓶に慣れることで、母乳を嫌がる赤ちゃんも出てくるんです。」
母乳は、赤ちゃんが口全体を使い、舌を動かしながら時間をかけて飲みます。
前回の記事で書いたように、まさに哺乳類としての本能を使った営みです。
一方、哺乳瓶は比較的少ない力で飲めるものも少なくありません。
人間は便利な方を選ぶ天才です。
どうやら、その才能は赤ちゃんの頃から発揮されるようです(笑)。
その結果、せっかく母乳が出るようになってきたのに、赤ちゃんが母乳よりも哺乳瓶を好むようになり、母乳育児を早く諦めざるを得なくなる方もいるそうです。
もちろん、すべての赤ちゃんに当てはまるわけではありません。
でも、そんな場面を数多く見てきた助産師さんの言葉には、やはり重みがあります。
「なるほどなぁ。」
そんなふうに思いながら、私の中で少しずつ考え方が変わり始めました。
「反射」が教えてくれたこと
前回の記事でも少し触れましたが、今回のお話を聞いて、私は改めて「反射」について考えるようになりました。
赤ちゃんは、生まれたときから探索反射、吸啜反射、把握反射、嚥下反射など、さまざまな反射を持っています。
そして、それらを何度も繰り返し経験しながら成長していきます。
原始反射と呼ばれるこれらの動きは、赤ちゃんが意識的に体を動かせない時期に、生き延びるために備わっている本能的な仕組みです。
- 栄養を確保する。
- 危険を避ける。
- 生き残る。
まずはそこから始まります。
さらに、その無意識の動きは、やがて自分の意思で身体を動かすための脳や神経の発達の土台になるとも言われています。
そんなことを考えているうちに、
「反射を十分に経験することは、生きる根っこを育てることなのではないか。」
そんなところまで思いが広がっていきました。
私はこれまで、
など、一見すると関係のないテーマについてブログを書いてきました。
読者の方からすれば、
「この人、今日は何を書きたいんだろう。」
と思われているかもしれません(笑)。
でも、私の中では、それらはすべて一本の線でつながっています。
人が生きやすくなるためには、本来持っている力を十分に育むことが大切なのではないか。
そう考えているからです。
無意識は、身体から育つのかもしれない
そこで思い出したのが、心理学者・加藤諦三先生の言葉です。
加藤先生は、人が生きづらさを抱える背景には、「無意識」が深く関わっていると繰り返し語っています。
私は心理学の専門家ではありません。
ですから、ここからは、あくまで今の私が感じていることです。
乳幼児期に経験する反射や身体の動きは、言葉になる前の「無意識」の土台を育てているのではないか。
そんなふうに思うようになりました。
私たちは頭で考えて生きているようでいて、その土台には、言葉を覚える前の身体の経験があります。
探索反射。
吸啜反射。
はいはい。
立つこと。
歩くこと。
そうした一つひとつの経験が、本能を育て、無意識を育て、その人の「生きやすさ」につながっていくのかもしれません。
もちろん、これは今の私が感じている一つの考えです。
ただ、鍼灸師として身体と向き合っていると、そのように感じる場面が少なくありません。
知識が増えれば、生きやすくなる。
昔の私は、どちらかというとそう信じていました。
だから本を読み、勉強会へ行き、今ではAIにまで質問しています(笑)。
でも実際は、知識が豊富なのに、とても苦しそうな人もいます。
一方で、理屈では説明できなくても、自然体で穏やかに生きている人もいます。
その違いの一部は、言葉になる前の身体の経験にあるのかもしれません。
そんなことを考えるようになりました。
父親の役割は「代わること」ではなく「支えること」
では、お父さんは何もしなくていいのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。
今回、助産師さんと話をして私が感じたのは、
「役割が違う」
ということでした。
授乳は、お母さんだからこそ担える役割があります。
一方で、お父さんには、お母さんが安心して授乳できる環境を整えるという、とても大切な役割があります。
- 家事をする。
- 赤ちゃんを抱っこする。
- お母さんの話を聞く。
- 眠れる時間をつくる。
- 笑わせる。
- 「大丈夫だよ」と伝える。
そうした支えがあるからこそ、お母さんは安心して赤ちゃんと向き合うことができます。
父親は授乳を代わる人ではなく、
授乳を支える人。
それもまた、赤ちゃんの健やかな成長を支える、大切な子育てなのだと思いました。
助産師さんから受け取ったもの
前回の記事を書いたことで、助産師さんから新しい視点をいただきました。
そして、そのお話をきっかけに、私は「反射」と「無意識」のつながりについて考えるようになりました。
私たちは、大人になるにつれ、頭で考えて物事を判断します。
でも、その土台には、言葉を持つ前に身体で経験したことが積み重なっているのかもしれません。
だから私の中では、
「母乳」も、
「反射」も、
「はいはい」も、
「生活」も、
「ヴィパッサナー瞑想」も、
すべて「人が本来持っている力を育む」という一点につながっています。
私たちは、ともすると、新しい知識や技術ばかりを求めてしまいます。
私もその一人です。
AIに質問しては「なるほど」と感心し、また質問しては「なるほど」と感心しています(笑)。
便利なものは、やっぱり便利ですから。
でも、本当に大切なのは、生まれたときから私たちの中に備わっている力を信じ、それを十分に発揮できる環境を整えることなのかもしれません。
これからも鍼灸師として、「人が本来持っている力」とは何か。
そして、その力をどうすれば自然に育んでいけるのか。
そんなことを、AIにも知恵を借りながら、皆さんと一緒に考え続けていきたいと思っています。



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