自律神経の乱れはなぜ起こる?|東洋医学で見る「本当の原因」

治療や健康について

自律神経が乱れていますね。

最近、いろんな場所でこの言葉を聞きます。

病院でも。
整体でも。
YouTubeでも。

もはや令和の万能ワードです。

疲れても自律神経。
眠れなくても自律神経。
やる気が出なくても自律神経。

そのうち洗濯機の調子が悪くても、

「それ、自律神経ですね。」

と言われそうな勢いです(笑)。

便利な言葉ですよね。

でも私は、この言葉を聞くたびに思います。

「で、なんで乱れたの?」

これ、結構大事だと思うのですが、案外ここまで話が進みません。

東洋医学は、この「なぜ」を探す医学でもあります。


自律神経は悪者じゃない

東洋医学に「自律神経」という言葉はありません。

でも、考え方はとてもよく似ています。

気・血・水が巡り、陰と陽のバランスが取れている状態を健康と考えます。

その巡りが悪くなると、

眠れない。
食欲がない。
肩が凝る。
動悸がする。
イライラする。

そんな症状が現れます。

でも、これは体が壊れたということではありません。

体が、自分自身を必死に守ろうとしている結果でもあります。

自律神経は、文句も言わず24時間365日働いています。

企業なら、とっくに労基署案件です(笑)。

交感神経も副交感神経も、私たちを困らせるために働いているわけではありません。

今日もなんとか生きていこうと、せっせと働いてくれている。

実に健気なやつです。

だから私は、自律神経を「悪者」にしたくありません。

むしろ、

「そんなに頑張らせてしまったのは、なぜだろう?」

と考えたいのです。


陰の自分も
陽の自分も
ちゃんとしている自分も、
どうしようもない自分も、
どっちもいていい。


その自律神経を、私はいじめています

偉そうに書いていますが、実は私も自律神経に迷惑をかけている一人です。

思うところがあって、お酒をやめました。

……大した理由はありません(笑)。

ところが、その空いたスペースを、見事に甘いものが埋め始めました。

  • 酒はやめたけど、羊羹ならいいよね。
  • 今日は頑張ったからアイスくらい。
  • チョコはカカオだから健康食品。

人間、本当に自分に都合よくできています(笑)。

当然、体はそんな言い訳には付き合ってくれません。

  • 食べ過ぎた翌日は体が重い。
  • なんとなく眠りも浅い。

「あれ? 自律神経が乱れてる?」

いやいや。

乱したの、私です(笑)。

患者さんにはよく、

「体は嘘をつきませんよ。」

なんて言っています。

その言葉が、そのまま自分に返ってきます。

朝から土鍋でご飯を炊き、筋トレもして、たまには山にも登る。

健康オタクを気取っているくせに、甘いものでかなり帳消しです。

我ながら、なかなかの詰めの甘さです。

でも、だからこそ患者さんを責める気にはなれません。

人間は、そんなに強くない。

私自身が、毎日のようにそれを実感しています。


現代人は、自分の体を酷使しすぎです

少し、自分の一日を振り返ってみましょう。

  • 朝起きてスマホ。
  • 通勤中もスマホ。
  • 仕事はパソコン。
  • 昼休みもスマホ。
  • 帰宅してまたスマホ。
  • 寝る前もスマホ。

気づけば一日中、

「まだ昼ですよ」

という情報を脳に送り続けています。

昔の人は、日が暮れれば暗くなり、朝になれば明るくなりました。

ところが今は、夜中でも昼間のように明るい。

脳からすれば、

「えっと……今、昼? 夜?」

となっても不思議ではありません。

さらに、

  • 運動不足。
  • 睡眠不足。
  • ストレス。
  • 甘いものは別腹。
  • 冷たい飲み物は一年中。

これで、

「自律神経だけ頑張ってね。」

というのは、なかなか酷な話です。

しかも、忘れてはいけないことがあります。

私たちは哺乳類です。

  • 必ず怪我をする。
  • 病気になる。
  • そして、必ず死ぬ。

これは、どう頑張っても変更できない「初期設定」です。

そんな生き物が、

「なるべく疲れず、なるべく楽に、なるべくストレスなく生きたい。」

と思っても、なかなかそうはいきません。

楽して生きられるようには、そもそも体ができていないんですよね。

それなのに、

「自律神経だけ頑張ってね。」

というのは、部下に仕事を全部押しつけて、上司だけ定時退社するようなもの。

体が、

「もう無理です。」

と言いたくなるのも、ちょっと分かる気がします。


東洋医学は「乱れた神経」ではなく「乱れた暮らし」を診る

だから七施鍼灸院では、

「自律神経だけを整えましょう」

という診方はしません。

というより、できません。

  • 睡眠はどうですか。
  • 食事はどうですか。
  • 便通はどうですか。
  • 呼吸は浅くなっていませんか。
  • 仕事は忙しすぎませんか。
  • ちゃんと休めていますか。

そんなことまで聞きます。

だから、

  • 肩こりなのに、お腹を診る。
  • 不眠なのに、足へ鍼をする。

患者さんからすると、

「先生、肩なんですけど……。」

という顔になります(笑)。

でも、その

「なんでそこ?」

こそが、東洋医学の面白いところです。

症状だけを追いかけるのではなく、

その症状を生み出している体そのものを見る。

私は、そこを大切にしています。

30年近く鍼灸を続けてきましたが、結局いつもここへ戻ってきます。

肩が痛いから肩だけを見る。

眠れないから睡眠だけを見る。

胃が痛いから胃だけを見る。

それだけでは、その人の体で何が起きているのか見えてこないことがあります。

体は全部つながっています。

だから、症状の「場所」だけではなく、その人の「暮らし」まで見る。

それが七施鍼灸院の鍼灸です。


自律神経を「治す」のではなく、生きやすい体をつくる

だから私は、

「自律神経を整えます。」

という言葉も、あまり使いたくありません。

なんだか、自律神経だけが悪者みたいだからです。

本当に整えたいのは、

あなたの暮らしに耐えられる体。

多少忙しくても。

嫌なことがあっても。

落ち込む日があっても。

  • ちゃんと食べる。
  • ちゃんと眠る。
  • ちゃんと回復する。

そんな力を持った体です。

もちろん、毎日完璧に暮らす必要なんてありません。

私自身、甘いものを食べすぎながら健康について語っています(笑)。

人間ですから、乱れる日もあります。

大切なのは、乱れないことではなく、

乱れても、また戻れること。

その「戻る力」を持っていることだと思います。

鍼灸は魔法ではありません。

刺した瞬間に人生がバラ色になるわけでもありません。

でも、体が本来持っている調整する力を引き出す。

そのお手伝いはできます。

もし最近、

「なんとなく調子が悪い。」

そんな毎日が続いているなら、いきなり気合いで乗り切ろうとする前に、一度、自分の暮らしを振り返ってみてください。

眠れていますか?

食べられていますか?

ちゃんと動いていますか?

そして、

ちゃんと休めていますか?

それでも一人では難しいときは、鍼灸という選択肢もあります。

七施鍼灸院では、症状だけを見るのではなく、その症状を抱えている「あなた」という人そのものを診たいと思っています。

体は、思っている以上に正直です。

そして、思っている以上に健気です。

だからこそ、

少しくらい大事にしてあげてもいいんじゃないでしょうか。

七施鍼灸院
大下義武


瞑想って「無になること」じゃなくて、“戻る力”を育てることなんじゃないかな、って思うんです。


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