朝の目覚めは、昨日の通知表|東洋医学で考える「回復する力」の話

朝起きても疲れが取れない原因を東洋医学の回復力から解説する七施鍼灸院の記事 治療や健康について

「ちゃんと寝たはずなのに、朝から疲れている。」

そんな日が続くと、

「もう歳かな。」
「体力が落ちたのかな。」

なんて思ってしまいます。

59歳になった私も、もちろん思います。

むしろ毎朝思っています。

  • 山へ登れば翌日は階段を一歩一歩カニ歩き。
  • 老眼は順調に進み、本を読むのも一苦労。
  • 筋トレをすると筋肉痛は翌日……ではなく翌々日。

しかも、その筋肉痛が今回のトレーニングなのか、前回のトレーニングなのか、よく分からないほどです(笑)。

もはや筋肉痛のサブスクです。

患者さんからは、

「先生、健康にいいことをたくさんしていますよね。」

と言われます。

  • 登山をして。
  • 筋トレをして。
  • たまに瞑想をして。
  • 土鍋でご飯を炊き。
  • お酒までやめました(ほぼ)。

ここまでやると、

「何を目指してはるんどす?」

と笑われます。

半分くらい当たっています。

ただ、目指しているのは霞を食べて生きることではありません。

ただ、「よく眠れて、よく回復する体」

それだけなんです。

でも、それでも疲れる日はあります。

いや、疲れを感じない日のほうが少ないかもしれません。

健康オタクっぽく見えるかもしれません。

……でも、その健康オタクが毎日疲れているんです(笑)。

だから私は思うのです。

問題は「疲れること」ではありません。

「回復できなくなっていること」なのではないか、って。

東京で約20年間鍼灸院を営み、広島へ戻ってからも治療を続け、30年以上鍼灸師として多くの患者さんを診てきました。

その中で感じるのは、疲れている人より、「回復できなくなっている人」のほうが、ずっと多いということです。

疲れることは、悪いことじゃない

私たちは生きている以上、必ず疲れます。

歩けば疲れる。
働けば疲れる。

子育てなんて、疲れないほうがおかしい。

山登りだってそうです。

私は登山が好きですが、山頂まで元気いっぱいで行ける人なんて、見たことがありません。

みんな疲れます。

だからこそ山頂の景色がうれしい。

疲れることは、生きている証拠です。

問題なのは、その疲れが翌朝になっても、翌週になっても居座ってしまうことです。

まるで居心地の良さを見つけた居候のように。

本来、人の体には「回復する力」が備わっています。

眠れば体は修復され、

朝には、

「よし、今日も頑張るか。」

そんな状態に戻れるようにできています。

ところが、この回復システムがうまく働かなくなると、寝ても疲れが残ります。

最近は、

「休めばいい。」

と簡単に言われます。

正直、その一言がいちばん休まらなかったりします。

以前、「休めない体」について書きました。

休める環境はあるのに、脳も体も休み方を忘れてしまっている状態です。

でも今回は、その続きの話。

休めるようになっても、回復できる体にならなければ、朝の疲れは残ります。

「休めないこと」と「回復できないこと」は、似ているようで少し違うのです。

でも、休める人は、とっくに休んでいます。

休める環境が整っていても。

休む時間を作ることができても。

休めないから困っているんです。

  • 真面目で。
  • 責任感が強くて。
  • 家族のため。
  • 職場のため。
  • 誰かのため。

そうやって頑張り続けている人ほど、自分を後回しにします。

体は、

「もう勘弁してください。」

と言っているのに、

頭だけが、

「あと少し頑張れ。」

と命令を出し続ける。

こんな上司がいたら辞表を書きます。

でも困ったことに、この上司、自分なんです。

この頭と体のケンカが始まると、朝になっても疲れは取れません。


裸足で足元を見て
呼吸を感じて
体に意識を向ける

それだけで、
不安や依存から少し距離が取れると思います。

東洋医学が診るのは「疲れ」ではなく「回復力」

東洋医学では、「気・血・水」の巡りや五臓の働きを大切にします。

鍼灸が得意な症状の共通点

  • 食べたものからエネルギーを作る「脾」
  • ストレスを受け止め、巡らせる「肝」
  • 生命力の土台となる「腎」

これらが弱ってくると、睡眠時間だけでは回復できなくなります。

  • 自然食を食べても。
  • 青汁を飲んでも。
  • サプリメントを増やしても。
  • 昔流行ったぶら下がり健康器に毎日ぶら下がっても(笑)。

体そのものが回復する力を失ってしまえば、どんな健康法も十分には働きません。

だから、朝のだるさは残るのです。

睡眠アプリの点数は100点。

でも本人は朝からゾンビのようにフラフラ。

アプリは「よく眠れています」と褒めてくれる。

でも、体は「全然休めてません」と抗議しています。

体は、アプリより正直です。

病院で検査を受けても異常はない。

でも本人は、どうしようもなくしんどい。

こういう方が、鍼灸院には本当にたくさん来られます。

西洋医学が悪いわけではありません。

病気を見つけ、命を救うことでは、現代医学は本当に素晴らしい。

ただ、

「病気ではない。でも元気でもない。」

このグレーゾーンこそ、東洋医学が何千年も向き合ってきた世界なのです。

「疲れない体」はありません

疲れを感じるたびに栄養ドリンク。
眠気にはカフェイン。

「今日はこれで乗り切ろう。」

もちろん、そんな日もあります。

私だって若い頃は、

「気合いがあれば何とかなる。」

と本気で思っていました。

実際、気合いだけで乗り切っていた時期もあります。

でも59歳になって分かったことがあります。

気合いには賞味期限があります。

しかも、思ったより短い(笑)。

延長交渉にも一切応じてくれません。

体は根性論では回復してくれません。

必要なのは、

  • しっかり食べること。
  • よく眠ること。
  • 深く呼吸すること。
  • 適度に体を動かすこと。
  • 体質に合わせて体を整えること。

ちなみに、

「眠れないんです。」

と相談してくださる患者さんの手には、だいたいスマホがあります。

  • 夜中まで動画。
  • SNS。
  • ネットニュース。

心の中では思います。

「その手に持っている小さな太陽、そろそろ沈めてみませんか。」

もちろん、最初は優しくお伝えします。

……でも、仲良くなると普通に言います(笑)。

「それ、明日の自分に借金してますよ。」

朝の目覚めは、昨日の通知表

私は毎朝、起きた瞬間に自分の体へ聞きます。

「今日はどう?」

「昨日はいい一日だったな。」

「昨日は少し無理をしたな。」

そうやって体と相談します。

朝は、自分を責める時間ではありません。

昨日までの自分から届く通知表を見る時間です。

疲れている日は、

体が

「もっと頑張れ。」

と言っているのではありません。

「少し休み方を変えてみませんか。」

そんな優しいサインなのだと思います。

東洋医学は、症状だけを見る医学ではありません。

その人が本来持っている「回復する力」を引き出す医学です。

もし、「寝ても疲れが取れない」が続いているなら、年齢や気合いのせいにする前に、一度、自分の体の声を聞いてみてください。

この混沌とした時代を生き抜くために必要なのは、疲れない体ではありません。

疲れても、ちゃんと回復できる体です。

以前の「休めない体」の記事とあわせて読んでいただくと、「休めないこと」と「回復できないこと」の違いが、より分かりやすくなると思います。

七施鍼灸院では、その人が本来持っている回復力を引き出し、

「明日の朝、目が覚めるのが少し楽しみになる。」

そんな体づくりを、お手伝いしたいと思っています。

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