以前書いたこの記事を見返しつつ、書き直してみました。
2016年8月のブログはこちら。
逆子初診時での治りやすさの判断基準は?
逆子治療で参考にしている事や、普段考えている事を羅列しています。
妊娠週数、お腹の張り方、睡眠、冷え、赤ちゃんの動き、生活リズム――。
逆子は単純に「向き」の問題ではなく、赤ちゃんが今どういう環境にいるのかを見ていくことが大切だと思っています。
妊婦健診で「逆子ですね」と言われると、不安になりますよね。
ちなみに産科の先生は、わりとサラッと言います。
「はい、逆子ですねー」
いや、こっちは全然サラッと受け取れないんですが、みたいな。
特に妊娠後期になってくると、
「帝王切開になるかもしれない」
「もう戻らないのでは」
そんな気持ちで、七施鍼灸院に来院される方も少なくありません。
でも、逆子というのは、単純に赤ちゃんの向きだけの問題ではないと私は思っています。
もちろん、
- 家族歴
- 赤ちゃん自身の個性
- 胎盤の位置
- 羊水量
- 子宮の形
など、医学的な要素も大切です。
ですが、長年逆子治療を続けていると、それだけでは説明しきれないものが確かにあります。
東京時代から20年以上、2200人以上の逆子治療に関わってきましたが、同じ週数でも「治りやすい方」と「なかなか動かない方」には、ある程度共通点があります。
……とはいえ。
長年みていても、正直「なぜこの子が回って、この子が回らないのか」は完全にはわかりません。
東洋医学っぽく深そうに語りたいところではありますが、毎回我が道を行く赤ちゃん相手に右往左往しています。
そんな中、今回は逆子の初診時に私がどんなところを見ているのかを書いてみたいと思います。
妊娠週数はやはり大切
まず大切なのは、初診時の妊娠週数でしょうか。
一般的に、週数が早いほど赤ちゃんが動けるスペースがあると考えられています。
そのため、もし気になるようであれば、早めに相談できる方が選択肢は広がるように思います。
ただ、28週以前で推定児体重1000g未満くらいだと、まだ色々な場所にいる子も多いので、「逆子治療」という意味では、そこまで気にしなくても良い場合もあるように思います。
一方で、安定期に入ってから自宅で三陰交や足三里へのお灸を続けている方は、全体的にトラブルが少ない印象はあります。
……まあ、たまたまかもしれません。
東洋医学、時々こういう“なんとなく臨床あるある”があります。
ただ、週数が進んだからといって、絶対に難しいというわけでもありません。
実際、
- 28週から始めて最後まで逆子だった方
- 34週以降の初診で頭位になった方
- 36週以降に下を向いた子
もいます。
特に、
- それまで頭位だったのに34週の健診で逆子と言われた
- 頭位、骨盤位、横位を繰り返している
- 赤ちゃんがよく動き、頭の位置が右へ左へコロコロ変わる
こういう場合は、妊娠後期でも動く可能性があります。
なので私は、単純に「何週だから無理」とは考えていません。
お腹の硬さは、とても大事
逆子治療でかなり重要なのが、お腹の状態です。
触った時に、
- お腹の形
- 張っている部分の分布
- 体動の位置とその変化
- どこが硬いのか
- どこが柔らかいのか
これらはかなり見ています。
お腹って、硬い日もあれば柔らかい日もあります。
なので、「普段どんな感じか」も大事です。
例えば、おへそから上、上腹部に赤ちゃんがいなくて柔らかい場合は、比較的回りやすい印象があります。
ただ、柔らかくても赤ちゃん自身が動きにくそうなこともありますから、結局は色々みてみないとわからない部分ではあります。
逆子治療というと、「お灸で回す」というイメージが強いかもしれません。
ですが実際には「赤ちゃんの動きやすい環境を作る」という感覚に近いです。
東洋医学的には、
- 呼吸
- 睡眠
- 冷え
- 疲労
- ストレス
- 消化器の状態
なども、お腹の緊張に関係していると考えています。
睡眠はかなり関係している
これは臨床を通してかなり感じていることですが、睡眠は本当に大切です。
特に、
- 寝る時間が遅い
- 夜中に何度も起きる
- 緊張が抜けず眠りが浅い
こういうケースでは、お腹も硬くなりやすい印象があります。
逆に、生活リズムが整い、眠れるようになるだけで赤ちゃんが動くこともあります。
妊娠中は、「お母さんの体の状態」が、そのまま赤ちゃんの居心地にもつながっているのかもしれません。
胎児の体内時計は母親でつくられる
ちなみに以前、「胎児の体内時計」についても書きました。
赤ちゃんはお腹の中ですでに、お母さんの生活リズムや光の影響を受けながら昼夜の感覚を学んでいるとも言われています。
「赤ちゃんが育つのは出産してから」
と考えがちですが、もしかすると、その準備はもっと前から始まっているのかもしれません。
夜ふかし、スマホ、生活リズム……耳が痛くなる話も少しありますが(笑)、興味のある方はこちらもどうぞ。
胎児はお母さんの生活リズムや光環境の影響を受けながら、お腹の中で昼夜のリズムを学んでいくとも言われています。
「夜ふかししてスマホ見ながら逆子体操」
みたいな状況は、もしかすると赤ちゃん側からすると、
「いや、とりあえずお母さん、寝て!!」
なのかもしれません。
逆子体操は「頑張りすぎ」が逆効果になることも
必死に病院で教えられた逆子体操を頑張る方もおられます。
真面目な人ほど頑張ります。
そして、頑張りすぎてお腹が張る。
日本人、だいたいにおいて、「休んでください」が、一番難しい。
もちろん逆子体操が有効なケースもあります。
ですが、やり方によってはお腹が張り、かえって苦しくなることもあります。
ですので七施鍼灸院では、
- 今の体の状態
- 赤ちゃんの位置
- 妊娠週数
- 張りやすさ
などを見ながら、その方に合う逆子体操の方法を教えています。
全員に同じ体操を勧めるわけではありません。
必要ない方もいます。
むしろ、「頑張りすぎないこと」の方が大切な場合もあります。
ちなみに以前、「逆子体操やお灸は、頑張れば頑張るほど良いのか?」についても書きました。
逆子と言われると、真面目な方ほど、
「毎日やらなきゃ」
「回るまで頑張らなきゃ」
となりがちです。
でも実際には、体操やセルフケアも“量”ではなく、“今の身体に合っているか”が大切な気がしています。
お腹が張りやすい方が頑張りすぎて、逆に苦しくなっているケースも時々あります。
「良かれと思ってやっていたことが、実は少し頑張りすぎだった」
そんなこともありますので、こちらも参考にしてみてください。
▼「逆子のお灸や体操が逆効果になることも?|頑張りすぎに注意」
逆子のお灸や体操が逆効果になることも?|頑張りすぎに注意
冷えは「表面」よりも深部を見る
妊婦さんを診ていると、
「冷やさないように」
と言われて、逆に温めすぎているケースもあります。
- 靴下4枚
- 腹巻き2枚
- レギンス
- 毛糸パンツ
- カイロ
もはや“温活”というより軽装備の冬山登山です。
もちろん冷えは良くないとは思います。
ですが、表面だけを過剰に温めることで、深部とのバランスが崩れているように感じることも多々あります。
重ね履きやカイロも、やり方次第では逆効果になることがあります。
東洋医学では、「どこを、どう温めるか」がとても大切です(逆に冷やしておいた良い場所も)。
妊婦さん自身の背景も参考にしています
逆子治療では、妊婦さん自身の情報も参考にします。
例えば、
- 初産か経産婦か
- ご本人が逆子で生まれているか
- ご家族に逆子が多いか
- つわりの強さ
- 便秘や下痢の有無
- 足がつりやすいか
- 仕事の内容
- 運動習慣
などです。
これらも参考にして、今の身体の状態を見ていきます。
東洋医学は、ひとつの症状だけを見る医学ではありません。
「その人全体」を見ながら整えていく医療です。
だからこそ逆子治療でも、単に赤ちゃんの向きを変えるだけではなく、妊娠中の体そのものを整えることを大切にしています。
子育ては、お腹の中から始まっているのかもしれない
逆子治療をしていると、よく思うことがあります。
妊娠や出産は、コントロールするものではなく、赤ちゃんとの「対話」なのかもしれない、と。
赤ちゃんを無理やり動かそうとするのではなく、
「今どういう状態なんだろう?」
「何を感じているんだろう?」
「私に何ができるんだろう?」
そんなふうに見つめ直していく。
そして、その対話の練習をする。
それも、「なんで回ってくれないの?」ではなく、
「私は、あなたが安心して過ごせるように、何ができるかな?」
そんなアイ・メッセージで。
もしかすると妊娠している「今」というのは、すでに始まっている子育ての時間であり、「仕事脳」から「子育て脳」への大切な移行期なのかもしれません。
思い通りに変えようとするのではなく、相手の力を信じながら、その子に合った環境を整えていく。
逆子治療を通して、私はそんなことを学ばせてもらっている気がします。
そう考えると、妊娠は子育てのための土台作りでもあるのかもしれません。
私は、子どもの土台というものは、イヤイヤ期くらいまでにかなり作られるように感じています。
いや、もっと言えば、妊娠中から歯が生えるくらいまでの時期がとても大切なのではないかとすら思っています。
「困った時に守ってくれる大人が近くにいる」
その安心感を、言葉ではなく身体で知っていること。
これが、人が賢く、しなやかに生きていくための大切な土台になるのではないかと思うのです。
養老孟司は、「読解力は中学生でしか伸びない」という話をよくされています。
「自分なりの価値観ができる時期に読解力がついてくる」
でも、その「読解力」を育てる土台は、実はもっと前、乳幼児期にまで遡るのではないかと思っています。
東大に行かせるとか、医者にするとか、そういう話がしたいわけではありません。
ただ、「勉強しなさい」と言われ続けた子より、自分で面白がって学べる子の方が、長い目で見ると伸びていくように思います。
そして、そういう子ほど、幼少期に「安心して甘えられる土台」があるようにも感じます。
だからこそ妊娠中から、妊婦さん自身が、
- 安心して眠れること
- 力を抜けること
- 呼吸できること
そういう土台を整えていくことは、その後の子育てにも、きっと無関係ではないと思っています。
七施鍼灸院では
広島県府中町の七施鍼灸院では、逆子治療も行っています。
東京時代から20年以上、2200人以上の逆子治療に関わってきました。
- 妊娠後期で不安な方
- 一度戻ったのにまた逆子になった方
- 帝王切開予定と言われている方
- 他院で改善しなかった方
- 明日帝王切開なんだけど、逆子治療をしてもらいたいとおっしゃる方
そういった方も来院されています。
鍼やお灸だけでなく、
- 生活
- 睡眠
- 呼吸
- 体の使い方
なども含め、今の状態を一緒に見ていきます。
もちろん、回らない子もいます。
帝王切開になることもあります。
それは決して「失敗」ではありません。
ですが、まずは体を整えながら、赤ちゃんが動きやすい状態を作っていく。
そして、お母さん自身が少し安心して出産に向かえる。
そのお手伝いができればと思っています。
七施鍼灸院については、
七施鍼灸院ホームページ
をご覧ください。




コメント