【逆子治療で伝えたかったこと・前編】一番学んだのは、私だったのかもしれない

逆子治療勉強会前編|胎児も一人の他者として考える逆子治療と親になる準備 逆子、安産について

先日、東京で開催した逆子治療勉強会のアンケートを読ませていただきました。

参加してくださった皆さま、本当にありがとうございました。

講師という立場ではありましたが、アンケートを読みながら、

「あれ? 一番勉強になったのは私じゃねぇ?」

……講師なのに(笑)。

そんなことを本気で思っています。

今回は、いただいた感想を読みながら、改めて感じたことを書いてみます。


ご縁がつないでくれた勉強会

参加理由を見てみると、

  • 逆子治療を学びたかった
  • 妊婦さんへの対応を学びたかった
  • 大下の話を聞いてみたかった
  • 山口先生に勧められた

など、本当にさまざまでした。

まずアンケートを見ていて改めて感じたのは、山口さんの人望の大きさです。

「山口先生の紹介で」

「山口先生のインスタを見て」

「山口先生のオープンチャットで知った」

という回答が本当に多い。

さすがです。

そんな中、
「大下さんのお話を聞きたかった」

という言葉も見つけてしまい、思わず二度見。

ありがとうございます。

私なんて最近は、意味もなく何十キロも徘徊したり、土鍋で炊いたご飯のお焦げの出来に一喜一憂したりしているだけの、のんきな広島のおじさんしかしてなかったので(笑)。

そんな人の話を聞きたいと思ってくださる方がいるなんて、世の中は本当に不思議で、本当にありがたいです。

今回の勉強会は、以前東京で開催した逆子治療勉強会をきっかけに、山口先生から「もう一度ぜひ」とお声がけいただいて実現しました。その経緯については、こちらの記事にも少し書いていますので、よろしければ以下のページもご覧くださいませ。


「いつか」のために学ぶ先生方

今回参加された先生方の多くは、

「逆子治療はほとんど経験がない」

あるいは

「数例経験したことがある」

という方でした。

考えてみれば当然ですよね。

今はどこの地域も出生数が減っています。

私が東京で逆子治療を始めた頃とは時代が違います。

妊婦さんと出会う機会そのものが少ない。

そんな中でも、

「いつ来ても対応できるように学んでおきたい」

そう考えて参加してくださった先生方の姿勢が、本当に嬉しかったです。


印象に残ったのは技術ではなく「考え方」

もちろん、

  • 三陰交の取り方
  • お灸の実際
  • 逆子体操

等々、技術的な内容を書いてくださった方もたくさんおられました。

でも、それ以上に印象的だったのは、

「逆子のツボはここ、という話ではなく、大下先生の長い臨床経験で培った考え方や信念を惜しみなく伝えてもらった」

という感想でした。

これは本当に嬉しかったです。

私が先輩方から教えていただいたことは、できるだけ次の世代へ渡していきたいと思っています。

特に仏教を学ぶようになってからは、

「自分だけ得をする」

という考え方が、だんだん居心地悪くなってきました。

だから、誰かの臨床の助けになれたのであれば、それだけで十分です。


この世界には、

「成功率95%!」

と胸を張っておられる先生もいます。

もちろん、それだけ多くの方を救ってこられたことは、本当に素晴らしいことです。

でも私は、どうしても残り5%の方のことが気になってしまいます。

回らなかった赤ちゃん。

帝王切開になったお母さん。

その方は、その後、どんな気持ちで出産の日を迎えられたのだろう。

どんな言葉をかければよかったのだろう。

どんな物語を歩まれたのだろう。

そんなことばかり考えてしまいます。

もちろん、治療成績という数字は大切です。

より多くの方のお役に立てるよう努めることは、医療者として当然のことだと思います。

でも長く逆子治療を続けていると、

お灸や鍼だけではなく、

  • 妊婦さんが安心されたこと。
  • 赤ちゃんを「治す対象」ではなく、一人の存在として見られるようになったこと。
  • 「頑張らなきゃ」から、「気持ちよく過ごそう」「赤ちゃんを信じてみよう」という気持ちに変わったこと。

そんな心の変化のあとに、赤ちゃんがふっと頭を下に向けてくれたように感じる場面を、私は何度も経験してきました。

もちろん、それが本当に理由だったのかどうかは分かりません。

でも私は、そうしたお母さんの表情や、お腹の雰囲気が変わることも、逆子治療の大切な一部なのではないかと思うようになりました。

だから私が目指したいのは、

回った方にも、

回らなかった方にも、

「この先生に診てもらえてよかった」

そう思っていただける鍼灸師です。

逆子が回ったかどうかだけではなく、

出産の日を迎えるまでの時間が、お母さんやご家族にとって少しでも安心できるものになっていたら。

私にとっては、それも逆子治療の大切な成果の一つです。

だから私にとって逆子治療は、

「治して終わり」ではありません。

その後、お母さんや赤ちゃん、ご家族が安心して出産の日を迎えられること。

その時間まで含めて寄り添うこと。

それが、私にとっての逆子治療です。


技術を学ぶ勉強会だったはずなのに

今回のアンケートを読んでいて、一つ面白かったことがあります。

印象に残ったこととして、

  • 妊娠中から子育ては始まっている
  • 赤ちゃんは自分以外の他者
  • 子どもはコントロールできない

そんな言葉を書いてくださる方が、とても多かったのです。

考えてみると、不思議ですよね。

逆子治療の勉強会です。

本来なら、

  • 「このツボを教えてもらって良かった」
  • 「この治療法を教えてもらって良かった」

そんな話ばかりが並んでもおかしくありません。

講師としては、その方が安心ですし(笑)。

でも実際には、多くの先生方が「子育て」や「親になること」に心を動かしてくださいました。

私が今回どうしてもお伝えしたかったのは、

「子育てにつながる逆子治療」

でした。

その意図を受け取っていただけたことが、本当に嬉しかったです。


胎児もまた、一人の他者

逆子治療を続けていると、

  • 回る子もいます。
  • 回らない子もいます。

鍼灸師として、お母さんや赤ちゃんが過ごしやすい環境を整えることはできます。

でも、最後に決めるのは赤ちゃんです。

長く臨床を続けていると、その現実に何度も出会います。

だから私は、逆子治療は単に向きを変える治療ではなく、

親になる準備を支える時間

でもあってほしいと思っています。

そして、この考え方は、生まれた後の子育てにも、そのままつながっていくような気がしています。

子育てが始まると、

「思い通りにならない」

という現実に、毎日のように出会います(笑)。

でも、その最初の「思い通りにならない」が、実は逆子という出来事なのかもしれません。

逆子ちゃんもまた、一人の他者です。

こちらの思い通りに動く存在ではなく、自分の意思を持った、一人の人。

そう思えるようになると、

逆子治療は、

「回す治療」から、

「一緒に待つ治療」

へと少しずつ姿を変えていくような気がしています。


ということで、今回はこの辺りで。

後編では、この「胎児もまた、一人の他者」という考え方が、なぜ私の中で大切になっていったのか。

心理学者・河合隼雄先生の言葉や、「仕事脳から子育て脳へ」という話も交えながら、もう少し深く書いてみたいと思います。

……ちゃんとまとまれば、ですが(笑)。

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