梅雨から夏になると、なんとなく不調な人が増えます
梅雨が明ける頃になると、七施鍼灸院でもこんな相談が増えてきます。
・朝から体が重い
・食欲がない
・むくむ
・頭がぼーっとする
・やる気が出ない
「暑いからですかね?」
もちろん、それもあります。
でも東洋医学では、もう一つの犯人を探します。
それが、湿気です。
雨の日に髪がまとまらなくなるように、人間の体も湿気の影響を受けます。
私なんて、まとまるほど髪は残っていませんが(笑)。
……まぁ、そんな話はさておき。
湿度は体の水分代謝を乱し、夏バテや胃腸の不調を引き起こす大きな原因になることがあるのです。
湿気が真っ先に狙うのは「脾(胃腸)」
東洋医学では、湿気による悪影響を「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。
そして湿邪が最も苦手にしているのが、胃腸の働きを担う「脾(ひ)」です。
脾は、食べ物を消化し、水分を全身へ巡らせ、体を動かすエネルギーを作る、いわば体の発電所兼物流センターのような存在です。
だから脾が弱ると、
・食欲がない
・胃もたれする
・下痢をしやすい
・むくむ
・疲れが抜けない
そんな症状が次々と現れます。
しかも現代人は、自分から湿邪に加勢してしまっています。
- アイス。
- そうめん。
- 冷たいジュース。
- 仕事終わりのキンキンに冷えたビール。
胃腸からすると、
「今日はどうにか営業終了でお願いします……。」
そんな気分でしょう(笑)。
私も東京で鍼灸院を開業していた頃は、お昼ご飯を5分で流し込み、そのまま午後の診療へ向かう日が少なくありませんでした。
「よく噛んで食べましょう。」
患者さんにはそうお話ししながら、自分は「カレーは飲み物」を地でいく勢いで、何でもかんでも胃袋へ流し込んでいました。
完全に、言うこととやることが一致していません(笑)。
今思えば、胃腸に対してかなりブラックな職場環境でした。
胃腸は「元気を作る工場」、そして心ともつながっています
東洋医学では、胃腸は単なる消化器ではありません。
元気を作る工場です。
発電所兼物流センターが止まれば、体中へエネルギーは届きません。
だから、
・疲れやすい
・集中できない
・朝から動けない
・肩こりや腰痛が治りにくい
そんな状態になります。
さらに東洋医学には五志(ごし)という考え方があります。
- 怒りは肝。
- 喜びは心。
- 悲しみは肺。
- 恐れは腎。
そして、考えすぎや思い悩むこと(思)は脾を傷めるとされています。
- 仕事のこと。
- 子どものこと。
- 親の介護。
- 将来への不安。
考えても今すぐ答えが出ないことを、脳だけが24時間営業で考え続ける。
すると胃が痛くなったり、食欲がなくなったりします。
逆に胃腸の調子が悪い日は、何をするにも面倒くさい。
「あれもしなきゃ。」
「これもしなきゃ。」
そう思うだけで疲れてしまう。
心が胃腸を弱らせ、胃腸も心を弱らせる。
どちらが先か分からないくらい、仲良しなんです。
最近では「腸活」や腸内細菌とメンタルの関係も盛んに研究されています。
東洋医学からすると、
「ようやく2000年前の話に追いついてきましたか。」
……なんて言うと、さすがに先輩風吹かせすぎですよね(笑)。
不調の原因は、痛い場所だけとは限りません
肩が痛いから肩だけ。
腰が痛いから腰だけ。
もちろん、それで楽になることもあります。
でも私は、その前に
「最近、ご飯、おいしく食べられていますか?」
とお聞きすることがあります。
夏の不調は、湿気だけが悪いわけではありません。
湿気に負けやすい体の状態になっていることも少なくないのです。
だから七施鍼灸院では、肩や腰だけでなく、胃腸の働きや生活習慣まで含めて整えることを大切にしています。
食べることは、生きること。
そして、しっかり消化できることは、元気に生きることにつながります。
毎年夏になると体調を崩す。
病院では「異常なし」と言われたけれど、なんとなく調子が悪い。
そんな方は、もしかすると「脾」が少し疲れているのかもしれません。
体は、思っている以上に正直です。
だから今日も私は、患者さんの肩より先に、
「最近、ご飯、おいしく食べられていますか?」
とお聞きします。
鍼を打つ前に、まず胃腸の話になる。
「先生、肩が痛いんですけど?」
「ええ。でも、胃腸も診せてください。」
遠回りに見えるかもしれません。
でも、その遠回りが一番の近道になることを、私は何度も患者さんから教えていただきました。
肩だけを見るのではなく、その人全体を見る。
それが、七施鍼灸院の東洋医学です。

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