【逆子治療から考える③】鍼灸は安心を作る医療なのかもしれない

逆子の勉強会に参加してくれたみなさんと 逆子、安産について

今回の逆子治療勉強会で、私が改めて考えたことの一つに、「安心とは何だろう」という問いがあります。


①では私が今回、東京で逆子治療についてお話しすることになった経緯について書いています。
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今回こうして東京で逆子治療についてお話しする機会をいただきましたが、そもそも「なぜ広島で隠遁生活をしているおじさんが東京で話すことになったのか?」については(【逆子治療から考える①】東京で話をしてきました)に書いています(笑)。


鍼灸師は治療家です。

だから結果を求めます。

  • 逆子なら頭位に戻ってほしい。
  • 腰痛なら痛みが減ってほしい。

もちろん私もそう思います。

そのために患者さんは来院されるのですから。

  • 結果は大切です。
  • 治療成績も大切です。
  • 知識も技術も経験も必要です。

それは間違いありません。

でも、長く臨床を続けていると、それだけではない、その先を見据えた治療も必要なのではないかと思うようになりました。


逆子治療で来院された患者さんが、産後にお子さんを連れて来てくださることがあります。

その時、逆子で来た頃のことを聞くと、

  • 逆子が回った
  • よく眠れるようになった
  • 腰が楽になった

といった具体的な話をしてくださることもあります。

でも意外と多いのが、

  • 逆子ちゃんを愛おしく思えるようになった
  • 子育てが楽しみになった
  • 話を聞いてもらえた
  • 安心した

という記憶です。

治療内容そのものよりも、その時に感じた安心感が心に残っている。

そんなことは少なくありません。

鍼灸院という場所は、身体を整える場所であると同時に、不安を少しだけ下ろして帰る場所でもある。

そんな役割も担っているのではないかと思うのです。


今回の勉強会でも、参加された方からさまざまな体験を聞かせていただきました。

逆子だった時に、
「お腹の環境が悪いから逆子になるのよ」

と医療者に言われて傷ついた話。

アクティブバースを経験してよかったという話。

一方で、
無痛分娩を選択して本当に救われたという話。

人それぞれの事情があります。

考え、

悩み、

そして一生懸命考えた上で選択しています。

それなのに私たち医療者は、つい「正しいこと」を伝えようとしてしまいます。

でも、
正しいことと、安心できることは必ずしも同じではありません。

そもそも「正しさ」の基準は人によって違います。

最近は何かと「エビデンス」が重視される時代です。

もちろん大切なことです。

私も論文は読みますし、根拠のある話は好きです。

でも、ときに正論は人を追い詰めてしまうことがあります。

だからこそ大切なのは、何を言うかだけではなく、どう伝えるか

そして、
どんな気持ちで相手の話を聞くか

とても大切なことだと思います。


私は、
「言葉も治療の一環」だと思っています。

鍼を一本も使わなくても、安心してもらえることがあります。

逆に、どれだけ優れた技術を持っていても、たった一言で相手を傷つけてしまうこともあります。

第②話で書いたように、胎児もまた一人の他者です。


【逆子治療から考える②】胎児は一人の他者である

逆子治療を20年以上続ける中で、少しずつ考えるようになったことがあります。

それは、「胎児もまた、一人の他者である」という視点です。


そして患者さんもまた、一人の他者です。

他者だからこそ思い通りにはなりません。

だからこそ、コントロールしようとするのではなく、理解しようとする姿勢が大切なのだと思います。

それは子育てにも共通することだと思います。


私は東京で活動していた頃から、助産師さんたちとのご縁に恵まれてきました。

助産師さんとつながっていると、妊婦さんのことをすぐに相談できますし、私の偏った考えや暴走気味の発想を修正してもらえます(笑)。

いつも、
「もしここに助産師さんがいたらどう思うだろう」

そんなことを意識しながら妊娠や出産について考えるようになりました。

そのおかげで、私自身もたくさん学ばせてもらいました。

また、東京スキンタッチ会で出会った仲間とのつながりが、今こうして勉強会という形で続いていることも本当にありがたいことです。

人とのご縁がなければ、今の私はありません。


今回の勉強会は、教えるために行ったはずでした。

でも終わってみると、学ばせてもらったことの方が多かった気がします。

  • 逆子治療について。
  • 妊婦さんの不安について。
  • 出産について。
  • 子育てについて。

さらに、

  • 人に安心してもらうということについて。

改めて考える時間になりました。

結局のところ、

私は逆子を治しているというより、妊婦さんや赤ちゃんから教わりながら、一緒に考えさせてもらっているだけなのかもしれません。

だから今も勉強中です。


鍼灸とは何だろう。

その答えは一つではありません。

でも今の私なら、以前より少し違う言葉を選ぶ気がします。

  • 「大丈夫ですよ」
  • 「よかったですね」
  • 「ありがとうございます」

そんな言葉を、もう少しだけ丁寧に使いたい。

鍼灸とは、
治す・治らないだけに無邪気に固執するのではなく、

安心を届ける医療でもある。

東京から帰った今、そんなことを改めて感じています。

もっとも、
こういうことを偉そうに書いている私自身が、日々失敗ばかりなのですが(笑)。

だから明日もまた勉強です。

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