写真は右から、東京スキンタッチ会の前々会長の山口さん、前会長の私、そして現会長の水戸さん。
お二人にはいつもお世話になりっぱなしで、ほんとありがとうございます。
今回の話は、実は前回の東京での勉強会の記事の続きでもあります。
久しぶりに東京へ行き、逆子治療の勉強会で講師を務めさせていただきました。
懐かしい先生方との再会や、久しぶりの東京の刺激に圧倒されながらも、改めて感じたことがあります。
それは、私が本当に伝えたかったのは、ツボの話や技術の話だけではなかったということ。
▼前回の記事
【逆子治療から考える①】東京で話をしてきました
そして今回は「胎児もまた、一人の他者である」という視点について書いてみました。
歴代会長の写真をアップしたので、まずはこの話から。
鍼灸師の子育て支援の団体である東京スキンタッチ会ですが、私がここに入会したのは20年以上前になります。
もともと私は、人前で話をするのがとても苦手でした。
でも鍼灸師として仕事を続けていく以上、学ぶだけではなく、自分の考えや学んだことを人に伝える力も必要。
そんなことを考えていた時、東京スキンタッチ会の立ち上げメンバーの一人から声をかけていただきました。
東京スキンタッチ会は、各地でスキンタッチ教室を開催しています。
「ここなら教室を通してアウトプットの力を鍛えられるかもしれない」そう思ったのが入会のきっかけでした。
ところが実際に入ってみると、学んだのはアウトプットだけではありませんでした。
気づけば、子育てそのものを学ばせてもらっていた感じがします。
「そのままでいいんだよ」ではなく、「そのまま“が”いいんだよ」
東京スキンタッチ会で学んだことの一つです。
子どもを親の理想に近づけようとするのではなく、その子そのものを尊重する。
子育てで失敗ばかりしてきた私ですが、この考え方には幾度となく助けられてきました。
以前、そのことについて書いたブログがあります。
実は今回お伝えしたい話も、この考え方が土台になっています。
ただ、今日を生きていてくれている
それだけで、どれほど尊いことか
子どもの「そのまま“が”いい」と思えたとき、
きっと相手のことだけでなく、
自分自身のことも許せるのではないでしょうか
子どもは親の思い通りになる存在ではありません。
一人の人間であり、一人の他者です。
だからこそ尊重しなければならない。
東京スキンタッチ会で学んだこの視点は、子育てだけでなく、今の私の妊婦さんへの関わり方や逆子治療の考え方にも大きな影響を与えてくれています。
20年以上経った今でも親しくしていただき、学ばせてもらえる仲間がいることに感謝しかありません。
さて、今回お伝えしたいのは、この東京スキンタッチ会で学んだ考え方が、なぜ今の私の逆子治療につながっているのか、という話です。
それは、「胎児もまた、一人の他者である」という視点です。
逆子治療を長く続けていると、逆子は単なる「向きだけの問題」ではないのかもしれない、と感じるようになりました。
もちろん妊婦さんにとっては大きな問題です。
- 帝王切開になるかもしれない。
- 赤ちゃんは大丈夫だろうか。
- 出産はどうなるのだろうか。
不安になるのは当然です。
だから私も、回ってほしいという思いを込めて治療をしています。
回る可能性を少しでも高めたいので、セルフケアもお伝えしますし、今できることを一緒に考えるようにしています。
今でもそうですが、昔はもっと熱かったかもしれません。
「絶対回してやる!」
くらいの勢いだった気がします。
今思うと、若さですね(笑)。
でも長く臨床を続けていると、現実はそんなに単純ではありません。
- 回る子もいます。
- 回らない子もいます。
- 胎動は増えたのに回らないこともあります。
お腹は柔らかくなった。
お母さんの体調も良くなった。
でも下を向かない。
そんなことも珍しくありません。
すると鍼灸師は考えます。
- 何が足りなかったんだろう。
- もっとできることがあったんじゃないか。
もちろん振り返ることは大切です。
でも、ある時から少し違う見方をするようになりました。
胎児もまた、一人の他者なのではないか。
そんなふうに考えるようになったのです。
お母さんの思い通りにはなりません。
もちろん鍼灸師の思い通りにもなりません。
私たちにできるのは環境を整えることだけ。
- 体を整えること。
- 安心して過ごせる時間を増やすこと。
でも最終的にどう動くかは、その子にしか分からない部分があります。
なんだか生まれた後の子育てと似ていますよね。
東京スキンタッチ会で学んだことの一つが、「子どもも一人の人間である」という考え方でした。
親だから、という理由だけで、
- 命令したり、
- 怒鳴ったり、
- 否定したり。
でも考えてみると、会社の同僚や友人にそんな接し方はしませんよね。
大人にはしないことを、子どもには平気でしてしまう。
親なら誰しも思い当たる節があるのではないでしょうか。
もちろん私もあります。
たくさんあります。
思い出すと、子どもたちに謝罪行脚をしたくなるくらいあります(笑)。
逆子も少し似ている気がします。
「どうして回らないの?」
と考えるより、
「そう来たか」
と赤ちゃんの行動を違う角度から眺めてみる。
もちろん何もしないわけではありません。
- できることは全てやる。
- 治療もする。
- セルフケアもする。
そして親としての気持ちは、しっかり赤ちゃんに伝える。
でも最後は相手を尊重する。
それは子育てにも通じる姿勢ではないでしょうか。
そう考えると逆子ちゃんは、なかなか優秀な親の教育係です。
親になる練習を、お腹の中にいる時から始めさせてくれるのですから。
もっとも、かなりスパルタな先生ではありますが(笑)。
逆子になること自体は嬉しいことではありません。
不安にもなります。
できれば経験したくない出来事だと思います。
それでも、その経験を通して、
- 待つこと
- 見守ること
- 信じること
子育てで何度も何度も必要になる大切なことを、まだ会う前から練習することができるのです。
もしかすると子育ては、生まれてから始まるのではなく、お腹の中から少しずつ始まっているのかもしれません。
そして逆子治療は、単に赤ちゃんの向きを変えるためだけの治療ではありません。
親になる準備を支える時間でもあり、お腹の中にいる赤ちゃんと出会う時間でもある。
私はそんなふうに考えています。
次回は、今回の勉強会で私が改めて考えた、「鍼灸とは安心を作る医療なのかもしれない」という話を書いてみようと思います。
6月19日(金)の予定です。




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