ワクチンよりもウイルスの方が脅威だと思っている私です。
子宮頸がんワクチンの接種率がどれくらい回復しているか、気になって調べてみたら、いまだにこんな感じなのですね。
HPVワクチンの定期接種の初回接種率は、全体で22.1%、定期接種の最終年である高校1年相当女子に限っても41.9%にとどまることが明らかになった。

少し古いですが、2020年の記事を紹介します。

スウェーデンで行われた、176万人以上の女性を対象とした大規模調査では、子宮頸がんワクチンの接種有無による発症リスクの違いが明らかになりました。
その結果、ワクチンを接種していない人と比較して、10~30歳で少なくとも1回接種した人は子宮頸がんになるリスクが63%低下していました。
さらに年齢別に詳しくみると、
- 17~30歳で接種した場合:リスクが53%減少
- 10~16歳で接種した場合:リスクが88%減少
と、より若い年齢で接種した女性ほど、子宮頸がんの予防効果が高いことがわかりました。
子宮頸がんワクチンについては、今も賛否の声があります。
「ウイルスよりワクチンの方がはるかに危ない」と言う人もいますが、実際に副反応の出現率とワクチンの効果を比較するとその差は一目瞭然です。
接種をしなかった結果、後で後悔するケースもあります。
以前来院された患者さんは、子どもの頃に親が「反ワクチン」の考えを持っていたため接種できませんでした。
ご本人も特に気に留めていなかったようですが、大人になって親から解放され色々考える機会を得て、子宮頸がんワクチンを含め、ご自身で複数を接種したとのことです。
曰く「時間もお金もかかってとても大変だった」とのことでした。
そういえば、、
かなり前の話ですが、逆子で来院された整形外科医の先生とワクチンについて話す機会がありました。
その時に感じたのは、同じ医師でも専門分野によって視点が違うということです。
この整形外科の女医さんはワクチンに否定的でしたが、感染症内科・産婦人科・小児科の先生方は、この分野の専門家です。
特に産婦人科医は、子宮頸がんの大変さを日々目の当たりにしているため、接種の重要性を強く感じている方ばかりのように思います。
女の子を持つお母さんは、ぜひ一度、産婦人科医をはじめとする専門の先生に直接話を聞いてみるとよいのではないでしょうか。
次に別の記事を紹介します
大阪大学の研究報告に「HPVワクチン接種率の激減による 2000年度生まれの子宮頸がん検診細胞診異常率の上昇」というものがあります(2021年の報告です)。

数字を見ると、その効果は明らかです。
1995~1998年度生まれの女性では、70%以上が子宮頸がんワクチンを接種していました。この世代では、多くの人がワクチンの恩恵を受けていることになります。
一方、接種率が急激に落ち込んだ「停止世代」、つまり2000年度生まれの女性では状況が大きく異なります。20歳時点での子宮頸がん検診において、**細胞診異常率が 5.04%**と、1999年度以前の世代に比べて有意に高いことが報告されています。
これは「ワクチンを打たなかった世代」で異常率が上がっているという事実を示しています。
もちろん、ワクチンによる健康被害の懸念がゼロではないことは否定できません。ですが数字を見れば、「接種しなかった場合のリスク」の方が現実的に大きいのではないかと感じます。
出生年によって子宮頸がんリスクに大きな差(2017年)

累積ワクチン接種率は、1994年生まれが65.8%、1995年生まれが72.7%、1996年生まれが72.8%、1997年生まれが75.7%、1998年生まれが75.0%、1999年生まれが66.8%、2000年生まれが4.1%、2001年生まれが1.5%、2002年生まれが0.1%、2003年生まれが0.1%であった。


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