ずっと前のことで恐縮です。
起立性調節障害で、学校への遅刻や欠席が続いていたお子さんのお話です。
高学年になって急激に身長が伸びたこともきっかけだったようで、成長とともに心と体のバランスが整い、元気に登校できるようになりました。
治療も一段落し、その後は一緒に来院されていたお母さんの治療をしていました。
そのお子さんは、自分をしっかり持っている、芯のある素晴らしい子だと私は感じていましたが、お母さんは少し違った印象を持たれているようでした。

学校では優等生で通っているけど、家では暴言や暴れっぷりに手を焼いています。学校の話もほとんどしてくれないんです

学校でがんばっている分、家ではその反動でストレスを手加減せずに出してしまうのかもしれませんね
とお伝えしましたが、私の言葉足らずもあって、うまく伝わらなかったように思います。
そこで

まずはお子さんの興味に、親が寄り添ってみるのもいいかもしれませんね
とお話すると、、

うちではマインクラフト以外、あまり興味を持たないんです
とのことでした。
けれど、その後の会話の中で、、

そういえば、そろばんには楽しんで通っているんです
と教えてくれました。
それならたとえば、、

10問だけタイムトライアル!」のようなゲーム性を持たせてみるのもいいかもしれませんね。時間を測るのがプレッシャーになりそうなら、「時間はかかってもいいから、全問正解を目指す10問チャレンジ」でもいいですし、「にっくきお母さんと勝負!」のように遊びの延長にしてみるのも、子どもが夢中になるきっかけになるかもしれませんよ。

漢字の書き取りであれば、「3つだけ丁寧に書いてみよう」とか、「どっちがきれいに書けるか勝負!」という形にしてみるのもおすすめです。
終わったらお菓子でも食べながら一緒に評価し合えば、楽しい時間になると思いますよ。
といった話をしました。
子どものそばで、ゲーム感覚で一緒に過ごしてくれる親がいる。
それだけで子どもは安心できるものです。
とはいえ、ゲームや遊びとの向き合い方は、親として迷いますよね。
私自身、三男がゲームに夢中になって夜な夜なプレイしていた時期がありました。
そのことを次男に相談したところ、「俺もそうだったけど、とことんやらないと気が済まないんだよね」と言われて、思いきって見守る覚悟をしたことがあります。
どんなに思うように動いてくれない子であっても、子どもの興味を否定しないということだけは大切にしたいところです。
興味を否定されると、子どもは確実に心を閉ざしてしまいます。
閉した心を開くのは本当に大変なので、無茶苦茶気をつけていたのを思い出します。
子どもは学校という、対人関係に悩む場所に日々通っています。
だからせめて家だけは何をしても、何もしなくてもいい場所にしたいかな、、って、、
だって、子どもってただ息をしてくれているだけでありがたい存在なのですから。
子育ては息苦しく感じるばかりだと思います。
でも、ご自身の心に少し余裕がある時だけでも生きていてくれてありがとうと思って欲しい。
その思いが変わっていくきっかけに必ずなりますから。
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