広島では聴くことのできない「テレフォン人生相談」。

久しぶりに録音したものを聴いて「ここに書き残しておきたい」と思った回がありました。
それが2023年7月31日に放送された回です。
この日の相談者は、3人のお子さんを育てているとても真面目なお母さん。
- いつも不安を抱えていて、そのせいで子どもに冷たい態度をとってしまうことがある。
- そんな態度は子育てに悪い影響を与えないだろうか?
- この不安とどう向き合えばよいのか?
そんな思いを打ち明けておられました。
物事を整理し、順序立てて進めたい気持ちはよくわかります。
けれど「目的から逆算して効率的に行動する」という、いわゆる仕事でのやり方は、子育てには通用しません。
効率優先で良いのは、子どものいない社会に限られると思うのです。
子育ては効率化されてはいけません。
効率を求めれば求めるほど苦しくなります。
だから妊娠中にゆっくり時間をかけて「仕事脳」から「子育て脳」へ切り替える必要があるんです。
子どもは「今、この瞬間」を全力で生きています。
逆算思考で子育てをすることなど許されることではありません。
そして、子育ては今日やろうと思ったことがほとんどできないので、予定通りに進めようとすれば、無力感だけが残ってしまいます。
ということで、
この回の回答者はマドモアゼル愛さん。
最初に相談者に投げかけたのが、
「子育てっていつぐらいまで大変なことかしら?」
相談者は20歳くらいまでを想定していましたが、愛さんの答えは
「自分のご飯は自分で食べられる。トイレにもいける。それで子育て終わり。あとはそれぞれの生き方を認める」
少し極端にも感じますが、このくらい割り切ることで親も子もずっと楽になるのかもしれません。
「立派な母親でいなければ」と思い詰めるより、「弱い母親でもいい」と受け入れる。
その方が、きっと子どもにとっても安心なのだと思います。
さらに「自分の子ども」というよりも、「社会の子どもを一時的に預かっている」という感覚で、親も初心者として一緒に育っていけるといいかもしれません。
それで思い出したのが、加藤諦三さんの言葉です。
「少子化対策はお金だけでは解決できない。大切なのは母親の気持ちを安定させること」
まさにその通りだと思います。
母親が安心できるように気持ちへのサポートを整えること。
お金をばらまくのではなく、不安を一つひとつ減らしていくこと。
その積み重ねが「子どもを持ちたい」という気持ちにもつながっていくのではないでしょうか。
子育てに「正解」はありません。
だからこそ、親子が少しでも安心して暮らせるように、社会全体で支え合える環境をつくることが大切だと、改めて感じた放送でした。
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