どうして逆子はいけないの?
逆子って、いけないことじゃないんです!
ただ赤ちゃんが「この向きが心地いいな」と思っているだけなのです
なので赤ちゃん自身に何か問題があるわけではありません
ただ、そのまま経膣分娩をするとリスクが高くなる、、
ただそれだけのことなんです
人間の赤ちゃんはとっても“メタボ”
人間の赤ちゃんですが、他の哺乳類に比べてとても大きく、脂肪をたっぷり蓄えて生まれます
たとえばゴリラの赤ちゃん、、
だいたい2000グラム弱で生まれるのですが、人間の赤ちゃんは平均3000グラムもあるんです
これは人間の赤ちゃんが生後1年で脳の重さを350gから700gと倍にするために、生まれる前からしっかり脂肪を蓄える必要があるからとか、、
いまでも妊婦さんの体重管理にうるさい病院があるみたいですが、赤ちゃんの成長と健康のために、妊婦さんもちゃんと体重を増やす必要があると考えるのが世界基準!
実際アメリカで出産された患者さん、160センチ弱で痩せても太ってもいない方なのですが、産婦人科医に「最低でも30ポンドは増やしなさい!」って言われて一所懸命食べたって!
30ポンドって14キログラム弱だから、日本の体重管理とは全く違うっていのを思い出しました
なんで逆子は危険なの?
そんな赤ちゃんなので、生まれる時から体だけでなく頭もとても大きいんです
だから出産のときは一番大きい頭から先に出てきてほしい
でも逆子の場合は、足やお尻が先に出て、最後に頭が出てきます
このとき、体はすでに産道を通っているのに頭がつっかえて出てこられないと、赤ちゃんは呼吸ができず、命にかかわる深刻な状況になってしまう可能性があるんです
今はほとんどが帝王切開に
リスクが高くなるので最近では、逆子の場合は予定帝王切開で出産することがほとんどになっています
少し前までは「まずは下から産んでみましょう!」という病院も多かったのですが、今は医療の現場が大きく変わりました
背景にあるのが、2000年に発表されたイギリスの医学誌『ランセット』に掲載された、26カ国・121病院・2083人の逆子妊婦を対象にした共同研究です。
研究の結果
逆子を帝王切開で出産したグループと、経膣分娩で出産したグループを比較したところ、
- 帝王切開グループ:出産時または1カ月以内に死亡・重い障害があった割合は1.6%
- 経膣分娩グループ:同じく6%
さらに興味深いのは、経膣分娩を担当した医師に20年以上の経験があった場合でも、この差はほとんど変わらなかったという点です
こうした結果から、「逆子の場合は必ず帝王切開にしましょう」という流れが世界的に強まったようです
ただしこの論文では、逆子の赤ちゃんの体勢、、
体を前屈しているのか、体育座りのような姿勢なのか、膝立ちのような姿勢なのか等々による危険度の違いについては触れられていませんでした
医師に聞いてみると、逆子でも体勢によっては、頭位(正常な向き)とほとんど変わらないリスクで経膣分娩できる場合もあるそうなので、、
それはさておき、この研究で指摘されている経膣分娩による障害は、脳内の血行不良や脊髄損傷、頭骨骨折、昏睡など深刻なものが多く、特に亡くなった赤ちゃんの多くは、分娩時の呼吸困難が原因でした
帝王切開を否定したいわけではありません
私自身、家族に帝王切開で生まれた子もいます
なので帝王切開という選択肢があって本当にありがとう!と心から思っています
でもやはり、できることなら手術をせずに産まれてほしい……
そう願う方も多いはずです
「帝王切開を回避したい」という気持ちは、決してわがままではなく、とても自然な想いなのだと思います
逆子でも赤ちゃんを否定しないで
逆子と聞くと、「どうしよう…」と不安になる気持ち、本当によくわかります
でも逆子というのは、赤ちゃんがただその姿勢を心地よく感じているだけかもしれません
赤ちゃんとお母さんは本当に深くつながっています
なので「逆子だからダメなんだ」と否定してしまうと、その気持ちが赤ちゃんにも伝わって、かえって窮屈になってしまうことがあるんです
逆にそのままの赤ちゃんを受け入れる気持ちを大切にしながら治療やケアをしていくと、不思議と赤ちゃんが自然に下を向いてくれたりします
そんなお話も、施術のときにぜひお聞きくださいね
七施鍼灸院 大下義武
2000年にLancet誌で発表された論文
「正期産単胎骨盤位においては、選択的帝王切開を選択した方が経膣分娩を選択するより児の周産期予後がよい」

追伸:
そういえば都立大塚病院、ずっと骨盤位経膣分娩をしていましたが、今も厭わないみたい
相変わらずすごい!!!

いわゆる逆子の赤ちゃんです。様々なリスクがあることから一般的には帝王切開が選択されることが多いですが、経腟分娩の強いご希望があれば、ご相談の上分娩方法を決めていきます。 |
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