逆子と「赤ちゃんへの話しかけ」について思うこと
逆子を頭位に促す方法を調べると、いまでも「赤ちゃんに話しかけるとよい」と書かれた記事を見かけます。
たいてい「医学的な根拠はない」と添えられていますが、それでも「お腹の赤ちゃんにお願いすれば動いてくれるかも」と思ってしまう気持ちも理解できます。
逆子は多くの妊婦さんにとって大きな不安の種ですから、少しでもできることは試してみたくなるものです。
ただ気をつけたいのは、「逆子を直したい」という思いが募るほど、赤ちゃんへの言葉がけが「お願い」から「懇願」や「脅し」に変わってしまうことがあるという点です。
私は、胎児もすでに一人の子どもであり、お腹の中にいる時から子育ては始まっていると思っています。
そう考えることで、逆子に対する向き合い方や言葉がけも少し変わるように思うからです。
子どもは親が支配できる存在ではなく、たとえ親子でも子どもは「他者」です。
自然な上下関係はあっても、それが「支配」に変わってしまうと子育ては難しくなります。
ですから、逆子を子育ての一場面と考えるなら、使う言葉は妊娠中であっても、できるだけやさしいものにしたいと思うのです。
実際、逆子の赤ちゃんは元気いっぱいで活発な子が多いとも言われます。
そんな子どもに「頭を下にして」と何度もお願いすれば、むしろ反対のことをするのでは、、と思ってしまうのです。
仮にそこで頭位になったとしても、「お母さんの顔色を伺って動いたのかな」と考えると、少し切ない気持ちにもなります。
もちろん、赤ちゃんに話しかけること自体はとても良いことです。
ただし、その言葉が「不安」を増すものであってはいけません。
不安が強まると胃腸の働きも悪くなり、体の緊張につながります。
私は、逆子の持続はお母さん自身の胃腸の硬さとも関係していると考えています。
だからこそ、逆子を忘れるくらい安心できる言葉や気持ちを持つことで不安が少なくなれば、自ずと胃腸も動き始めます。
そちらの方が、体操やお灸以上に大切だと思うのです。
では、どんな言葉が良いのでしょうか。
例えば――
- 「ここまで大きくなってくれてとっても嬉しい」
- 「ただ生まれてきてくれるだけでいいんだからね」
- 「うちはとっても楽しいところだから、我が家に生まれてきてよかったね」
- 「パパもママも、とっても楽しみにしているよ」
こうした言葉は、赤ちゃんだけでなく、お母さんご自身の気持ちもやさしく整えてくれます。
ですから、赤ちゃんへの話しかけは「逆子を直すため」ではなく、「愛情を伝えるため」というのを意識した方が、より逆子を頭位に促すのではないでしょうか。


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