出生時の低体重と生活習慣病の関係──「小さく産んで大きく育てる」は本当に正しいのでしょうか?

低出生体重による出生は心血管疾患や生活習慣病リスクを増加 ~日本初!出生体重と成人後期の生活習慣病の関連が明らかに~

低出生体重による出生は心血管疾患や生活習慣病リスクを増加 ~日本初!出生体重と成人後期の生活習慣病の関連が明らかに~ | 国立成育医療研究センター
  • 出生体重が小さい方ほど、成人後期に心血管疾患のリスクが高いことが分かりました。
  • 出生体重が小さい方ほど、成人後期に高血圧、糖尿病の生活習慣病になりやすいことも分かりました。
  • 出生体重と成人期後期の生活習慣病の関連を、日本で初めて明らかにした研究成果です。
  • 日本では10人に1人が出生体重2.5kg未満、100人に1人が出生体重1.5kg未満で生まれています。今後、低出生体重による出生が増えないための予防の取り組みや、低出生体重児として生まれた方の成人後の健康増進のために、本研究の知見が正しく周知され、予防医学の精度の向上に役立つことが期待されます。

生育医療センターのプレスリリースで、出生体重と成人後期の生活習慣病の関連を明らかにした日本初の研究成果を見つけました

出生体重が小さい方ほど、成人後期に心血管疾患や高血圧、糖尿病など生活習慣病になりやすい。

現在の日本では、10人に1人が出生体重2.5kg未満、さらに100人に1人は1.5kg未満で生まれているそうです

ここで改めて考えたいのが、「小さく産んで大きく育てればいい」という考え方

実際、母親の体重が軽いと新生児の体重も軽くなる傾向があり、「小さく産む」こと自体が将来的に子どもの生活習慣病リスクを高める可能性があるという指摘は以前からありました

また、海外で出産を経験した方の話を聞くと、欧米ではむしろ「もっとしっかり食べて太りなさい」という指導が主流みたいです

もちろん、太りすぎが母体や赤ちゃんにリスクをもたらすのはよく知られていることですが、それ以上に心配なのは、妊婦さんが必要以上に体重を気にしてしまうこと

私の印象だと、多くの妊婦さんは「痩せたいから」という理由ではなく、「体重が増えすぎると出産が大変になるよ!」と周囲や医療者から言われ、不安になって体重を抑えようとするケースがいまだに多いように思います

医療者も昔ほど厳しく体重管理を求めることは減ってきたとはいえ、それでも「体重増加は12kgくらいに抑えてね」「気にしなくてもいいけど、月に1kg以内でね」といった声かけが、妊婦さんの中に根強く残る“ダイエット信仰”を刺激し、結果として過度の体重制限につながっているように思うのです

特にBMI値を基準にした体重管理は、「難産になりやすいから体重を増やさないで」という指導と合わさり、妊婦さんの痩せ志向を一層強めてしまう傾向があるように感じます

その結果、体重が思うように増えず、赤ちゃんの出生体重も低くなる
そんな現状も見逃してはいけないように思います

胎児期の低栄養と生活習慣病の関係は、「メタボになりやすさは胎児期に始まる」という重要な視点を私たちに教えてくれます

実際に研究でも示されているように「小さく産んで、あとで大きく育てればいい」という考え方はお子さんの将来の健康リスクを高める要因になりかねません

太りすぎはもちろん避けるべきですが、妊娠期の体重管理は「ダイエット」や「難産を避ける」といった目先の理由だけにとらわれず、赤ちゃんの将来を見据えた長い目でのバランスが大切なのだと、この記事を読んで、改めて感じている次第です

広島県安芸郡府中町
七施鍼灸院
大下義武

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