このブログで少し妊娠時における体重管理のことを書いたので、、
あくまでも仮説ですが…
生活習慣病の起源を胎児期の低酸素や低栄養に求める「バーカー仮説」という考え方があります
たとえば痩せたお母さんは低体重児を産みやすく、その子どもは将来、肥満になりやすい傾向があると言われているそれです
お腹の中で赤ちゃんが低栄養状態で育つことで、「燃費の良い体」=脂肪をため込みやすい体質になるからだそうです
妊娠中の体重管理の影響
日本では今も「妊娠中は太りすぎないように」と体重増加を管理する傾向があります
これは妊娠中毒症や妊娠糖尿病など、体重増加によるリスクを減らすため、という背景があります
諸説あるようですが、「小さく産んで大きく育てる」という考え方もこの考えをもとに広がったと聞いたことがあります
出生体重の変化
厚生労働省の人口動態統計によると、出生体重2,500g未満の低出生体重児は1975年には全体の5.1%でしたが、2019年には9.4%に増加しています
「小さく産む」ことは一見よいことのように思われがちですが、日本において、そのあと「健康に育つか」どうかについては、あまり議論されてこなかったようです
参考:日本の母子保健 低出生低体重児(1)-2019年の低出生体重児が占める割合は9.4%、1975年から4.3%ptも上昇
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=77379?site=nli#:~:text=%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%80%81%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%8F%A3,%E3%81%8C%E6%98%8E%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82
成人病胎児期発症説(バーカー仮説)
ところで最初に書いたバーカー仮説についてですが、英国サウサンプトン大学のデビッド・バーカー博士は「成人病(生活習慣病)の起源は胎児期にある」と提唱しました
胎児はまず脳や心臓など大事な部分に栄養を送るため、低栄養が続くと筋肉のもとになる細胞が増えず、出生後に脂肪をためやすい体質になってしまうとのこと
バーカー博士らが英国の地域住民を対象に調べたところ、出生体重が2.5kg以下の人は、3.4kg以上だった人に比べて50歳時のメタボリックシンドローム発症率がなんと13.5倍にも上ったそうです
他の研究でも同様の結果が
第二次世界大戦中の食糧難を経験したオランダで、低体重で生まれた人たちを追跡調査した研究でも、同じように成人後に肥満や生活習慣病になりやすい傾向が報告されています
DOHaD仮説へ
ただ、バーカー仮説だけでは説明しきれない部分もあります
たとえば低体重にならなくても生活習慣病を発症する人や、体質変化が次世代にまで影響を及ぼすメカニズムなどです
これを補う形で、Gluckman先生とHanson先生が提唱したのが「DOHaD仮説」です
生活習慣病と胎児期の関係
「生活習慣病」というと、大人になってからの生活習慣によって起こるものと思われがちですが、実は胎児期の栄養や環境で将来の体質が方向づけられているというのは、とても興味深い話です
妊娠中の体重管理はもちろん大切ですが、赤ちゃんの成長のために必要な栄養をしっかりととることも、同じくらい大切なのかもしれません
参考;昭和大学DOHaD班
DOHaD とはDevelopmental Origins of Health and Diseaseの略であり、「将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定される」という概念です
安芸郡府中町
七施鍼灸院
大下義武
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